会長挨拶

大倉 利典
Toshinori OKURA
(工学院大学教授)2018.10会長大倉先生

2018 8 30 日に開催された総会において,板谷清司会長(上智大学)の後を受けて,本学会の第13 代会長に選出されました。副会長には中山尋量氏(神戸薬科大学)および赤澤敏之氏(北海道立総合研究機構)にご就任いただき,さらに新しい理事と評議員の方々をお迎えして新体制のもと活動を始めました。また,学会活動を支える事務局は,遠山岳史氏(日本大学)に引き続きお引き受けいただきました。今後2 年間の任期中,これまで諸先輩が築いてこられた本学会のさらなる発展のために,微力ながらも努力を重ねていきますので,何卒よろしくお願い申し上げます。本学会は,中部化学関係学協会支部連合秋季大会「リン酸およびリン酸塩」セッション(第1 回無機リン化学討論会(1973 年)),およびその後に設けられた無機リン化学研究者懇話会を母体にしています。1986 年には,本学会の前身である無機リン化学研究会が設立され,1991 年には日本無機リン化学会に名称が変更されて現在に至っています。2 年前の2016 年に創立30 周年を迎え,まさに壮年期を迎えました。設立当時からみますと,経済・社会が大きく変化する中で,次の40 周年に向けて,無機リンに関わる学会活動を通じて社会に一層の貢献をしていきたいと思います。リン酸塩化合物は,肥料,洗剤,歯磨き粉など,私たちの生活の中で使われている製品から,食品添加物,難燃剤,清缶剤,排水処理剤など,生活を陰で支えている製品まで,幅広く利用されています。無機リンに関わる研究は,ガラスや肥料などに関する研究から始まり,現在では生体材料,吸着材,触媒,顔料,電池材料などの種々の機能材料の開発など,基礎的および応用的な研究が行われています。このような広範囲な用途がある無機リン化学の世界は,今後さらに大きな広がりを見せていくことでしょう。その一方で,海外に依存しているリン資源の確保の観点から,リンの回収技術の開発も大きな課題であると思います。本学会の果たすべき役割は,ますます拡大しています。本学会では,機関誌「PHOSPHORUS LETTER: PL」や英文学術論文誌「Phosphorus Research Bulletin: PRBの発行のほか,International Symposium on Inorganic Phosphate Materials ISIPM)の開催,無機リン化学討論会の開催を3 本の柱にして活動を行っています。現在の会員数は,個人会員,学生会員あわせて160 名程度の小さな学会ですが,無機リン化学の専門家集団として活発な活動を続けています。PL 誌については,創立30 周年にあわせて,最新の無機リン化学に関わる情報を網羅した記念号「PL88号:無機リン化学の基礎と応用」が発行されました。これに関連して,1985 年に金澤孝文本会名誉会長の編著で出版された「無機リン化学」(講談社サイエンティフィク)をリニューアルした「新無機リン化学(仮称)」の発行も計画しています。PRB 誌については,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)を利用したオープンアクセス化とアーカイブ化が実施されており,アクセス件数は順調に伸びています。米国,中国,日本,ドイツからのアクセス件数が非常に多く,その他にも世界の多くの国々からアクセスされています。一方で,投稿論文数が減ってきているのも事実です。これは早急に検討しなければならない最重要課題です。国際交流については,ISIPM の次期開催を本学会が主導すべく,準備活動をキックオフしております。さらに,共催,後援する種々の国際会議や研究集会等の連携を進めていく所存です。日本無機リン化学会を更に活力に満ちた学会にしていくため,皆様のご支援,ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。