会長挨拶

yanagi柳澤 和道
Kazumichi YANAGISAWA


 日本無機リン化学会は,リンを含有する無機物質およびそれに関係する物質または関連現象
に関する科学および技術の発展・利用を計ることを目的として活動をしております。リン酸塩は,
肥料,洗剤,歯磨き粉など私たちの生活の中で手に取ることのできる製品から,食品添加物,
難燃剤,清缶剤,排水処理剤など私たちの生活を陰で支える製品まで,広く利用されてい
ます。無機リンに関する研究も,肥料やガラスなどに関する歴史のある研究から始まり,現在
では生体材料,触媒,顔料,電池材料などの機能性材料としての研究や,有機物のリン酸化や
リン回収などの基礎,応用研究など,さまざま方向から行われています。このような広範な用途
がある無機リンに関する研究を専門的に取り組む組織であることが,日本無機リン化学会の誇りです。

 日本無機リン化学会はその活動を無機リンに関することに特化しておりますので,会員は学生
定員を含めても百数十名の小さな学会です。そのために,会員の顔がよく見える学会でもありま
す。本学会の最も大きな年間行事は,会員の半数近くが参加する年1回の無機リン化学討論会です。
1会場で2日間にわたり口頭発表が行われ,大都市ばかりでなく,会員のお世話によりさまざまな
地方都市でも開催されてきました。学会の論文誌であるPhosphorous Research Bulletin はJ-STAGE
を利用して公開しており,学会誌のPHOSPHRUS LETTERは年3回発行しています。ボランティア
精神に満ちた会員諸氏が,このような学会活動を支えています。

 本学会は,2016年に創立30周年を迎えます。30周年記念事業として,国際会議の開催や冊子体
「無機リン化学の基礎と応用(仮)」の出版などを企画しております。この大きな節目の時期に
会長職を仰せつかりました私の任務は,30周年記念事業の準備と遂行に加え,本学会の歴史を新し
い世代に引き継ぐことと考えております。単に同じことを繰り返していただけでは,組織はすぐに
硬直してしまいます。会員諸氏と議論しながら,より活力に満ちた学会とするために尽力いたします。